国豊かに民安くして兵戈用ゐることなし

(仏説無量寿経 註釈版聖典 七十三頁))


皆さんこんにちは。
あっという間に新年度に入りました。
皆さん、今年度はどんな希望や目標、抱負をお持ちでしょうか?
希望では「新型コロナウィルスの終息」や、「世界平和」もあるでしょうし、これらの事象に起因して疲弊
した経済の回復や、異常に値上がりした物価が元に戻る事等々あることでしょう。
私もそれらを願っていますし、また異常気象や地震などにより災害はもう起こらないで欲しいと思います。

さて、先月善教寺再建事業のデザイナーさん(建築士)が決まりました、と報告しましたが、ここで改めて
ご紹介します。
A.S.Oスタイル代表の柴田達志さんという方です。
この方は所ジョージさんの人気リフォーム番組、「大改造!劇的ビフォーアフター」に最多で出ている匠の

先生なんです。
柴田さんは2月20日放送の大分県でのリフォーム工事も担当されていましたので、ご覧になられた方も多
いかと思います。
この回は、お笑いコンビ「Wエンジン」(チャンカワイ、えとう窓口)のえとうさんの実家リフォームでし
た。
予算にも限りがあり、匠もかなり知恵を絞って完成させましたが、あの番組は本当に公表した予算内で工事
をしているそうです。
もしそこに偽りがあると、たとえば請け負った工務店さんとか関係業者からそういうことが漏れると、番組
自体の信用を失うからで、それだけに、匠のアイデアが大変重要になってくるんです。
ウチのお寺、善教寺は平成28年熊本地震で全壊しましたが、その大きな要因は「屋根が重い」からだと私は
思っています。
またあの時私は一番被害のひどかった益城町にも災害支援で入りましたが、やはり重い瓦屋根が原因で崩れ
た住宅が多かったです。
元々、日本建築はわざと瓦屋根を使って屋根を重くしています。
これは地震に対する備えで、大きな地震を受けると、重い屋根が揺れて、地震動を逃がすのですが、この時
同時に瓦が下に落ちてその重みで建物が潰れないようになっているんです。
しかし、瓦の落下がかえって危険とみなされ、建築基準法が改正され、瓦は屋根にしっかり固定されたので
すが、地震の際に瓦が落ちない代わりに、建物が崩れるという弊害が起きました。
その証拠に、多くの全壊した建物の殆どが、屋根が綺麗なまま崩れていました。

今後、どんな地震が来るのかもわかりませんので、私は「The お寺」のような本堂にはせず、軽い屋根にし
て、またデザインもお寺には見えない建物にします。
誰もが気になって「え?ここ何屋さん?」と訪れたくなるように。
皆さんに気軽にお越し頂き、ゆっくりとくつろいで頂ける空間、場所として建てていきますので、ご期待下
さい!!

さて、今月の伝道掲示板は「兵戈無用(ひょうがむよう)」です。
これは浄土真宗の根本聖典・仏説無量寿経(大経)の中に出てくるお言葉です。
「仏説」というのは仏が説いた、という意味で、この仏とは釈尊、つまりお釈迦さまが説かれたお言葉や
み教えをまとめたものです。
この中の巻下、正宗文(本論) 釋迦指勧の部分で、お釈迦様が弥勒菩薩に対して述べているお言葉の抜粋
です。
兵はその字の通り、兵隊を指し、戈は武器の「ほこ」の事を意味します。

訳は「仏の歩み往かれるところ、国も町も村も、その教えに導かれないものはない。そのため世の中は平和
に治まり、太陽も月も明るく輝き、風もほどよく吹き、雨も良い時に降り、災害や疫病などもおこらず、国
は豊かになり、民衆は平穏に暮らし、兵や武器を用いて争うこともない。人々は徳を尊び、思いやりの心を
持ち、厚く礼儀を重んじ、互いにゆずりあうのだ」という意味です。

まさに、ロシアとウクライナの大統領に知らしめたい言葉です!
ウクライナに一方的に侵攻したのは確かにロシアでそのリーダーのプーチンには同情の余地はありません。
そして、一方的に攻められているウクライナの人々は本当に気の毒だし、また罪もないのに命を落とされた
子供を含む多くの方達の無念はいかほどかと、胸が詰まる思いです。
しかし、私はウクライナのゼレンスキーという大統領もプーチンと同罪と考えます。
先に手を出したのはロシアですが、そうさせた経緯はあまり語られていません。
元々、欧米に対して警戒していたロシアは隣国のウクライナがNATOに接近していくのを相当心配していま
した。
そりゃそうです、下手したら、隣国地続きのウクライナに米軍が駐留する可能性だってあります。
NATOはウクライナを加盟させたらロシアを怒らせるので加盟は認めていませんでしたが、そんな揺さぶり
をロシアに対して掛けていたのはゼレンスキー大統領です。
その他にも認めがたい事由はありましたが、先に行動に出たのはロシア。
しかし、この二人の大統領は無傷でいます。
国民が命を落とし、家を破壊され、家族離れ離れになっているのに…
そんな事にならないように…民を守るのがその国のリーダーとしての一番の責務ですが、結果として平和の
ための外交に失敗し、罪の無い多くの人々を苦しめているのです。
「戦略」とは戦いを略し、血を流さない努力をすることなのに。

どの国のリーダーも、兵も武器もなぜ必要なのか?をこの二国の戦争を見て、よく考えてほしいです。
徳を尊び、思いやりの心を持ち、厚く礼儀を重んじ、互いにゆずりあう…そんなごく当たり前のことができ
てさえいれば、兵も武器も必要なく、また戦争も起こりません。

親鸞聖人も仰せになられています。
世のなか安穏なれ、仏法ひろまれ、と。

南無阿弥陀仏
南無阿弥陀仏

善教寺住職・本願寺派布教使
釋 一心(西守 騎世将)







 


 
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