一切皆苦(いっさいかいく)
釈尊

皆さま、こんにちは。
また出ましたね…三回目の緊急事態宣言。
三回目になると、もう皆さん慣れてしまってコロナウィルスに対する警戒心も薄れてしまい
がちですね。
飲食店は休業しても補償金が数ケ月も遅れているとか、その休業補償金も一律だとか、
なかなか実情に沿う方法が出て来ません。
オリンピック、どうなるんでしょうかね?
私は正直申しますと、最初から東京オリンピックは反対でした。
もちろんオリンピックでの日本人選手の活躍は楽しみなのですが、なぜ今東京でやらなければ
ならないのか?と最初から疑問だったからです。
1964年の東京オリンピックは、当時日本は高度成長期で国民意識を高めるためにも意味が
あったのでしょうけど、各地で大災害が発生し、まだまだ復興も果たせていない所もたくさん
あるのに、税金を湯水のごとく使って政治家さんと大企業だけが潤うようなイベントに何の
意味があるのか私にはどうしてもわからないのです。
今や変異ウィルスが猛威をふるって世界中を恐怖の真っただ中に陥れ、そしてワクチンすら
全く間に合わない状況でどうやってオリンピックやるんでしょうか?
これがあるがために、新型コロナウィルス対策がどうしても中途半端になり、いつまで経って
も先が見えなくなっているところに、政治家さんや厚労省職員、そして大阪市の職員すらも
集まって外食して非難を浴びています。
リーダー不在の日本…どうしても一つにまとまりませんね。
「ワンチーム」という言葉が流行りましたが、今こそ日本は本当の意味でのワンチームに
ならないといけないんだと思います。

さて今月はいきなり愚痴っぽくなりました…すみません。
「子は親の言う通りにはしない。親のした通りにする」…
親は「勉強しなさい、努力しなさい、挨拶しなさい、人に褒められる人間になりなさい」って
いろいろ子に言います。
それは親として当たり前の躾であり教育なのですが、親がそうしていないのに、子供はその
通りにするわけありません。
それに「ああしなさい、こうしなさい」という言葉、実はとても抽象的な表現で、言われた側
も何を具体的にどうしたら良いのかはわからないのです。
だからそれを言われた子は、よくわからないので、親のしている通りにするんです。
子が挨拶をしないのは、親が挨拶を丁寧にしていないからかもしれません。
子が勉強をしないのは、親がいろんな勉強をする姿勢に欠けているのかもしれません。

お釈迦様は「四法印」という教えを残して下さっています。
その内の一つが「一切皆苦(いっさいかいく)」。
つまり世の中すべてが苦である、ということです。
ここで言う苦とは肉体の苦しみというよりは、心の苦、つまり自分の思い通りにならない
苦しみのことを指しています。
そもそも、いろんなことを自分の思い通りにするのは無理があります。
なのに「あれをこうしたい」「これをああしたい」と様々な事を考えてシナリオを描き、その
通りに物事をトレースさせようとし、結果その通りにならずイライラしたりクヨクヨしたり。
これを読むと「愚かだな」とは思いますが、そうしてしまうのが人間です。
つまり自分の思い通りにしようとすることが煩悩なのです。
しかし、人間には生老病死という四つの苦がありますが、生まれ、老い、病を患い、そして
死を迎えますが、これらは自分の思い通りにはなりませんね。
それをなんとかコントロールしようとするのですが、結局思い通りにはならず、そこで苦しむ。
私たちはどうあがいても、老い、病を患い、やがて命尽きるのです。
まずそこを心から受け止めれば、ある程度のこだわりを捨てられるのではないでしょうか。
つまり「こだわり」そのものが煩悩の塊であり、これを捨てない事には決して心が軽くはなら
ないのでしょうね。
お坊さんが頭を剃るのは「こだわりを捨てる為」です。
私も得度する際は剃髪しました。
髪型には結構こだわりを持っていましたが、剃髪すると、そりゃもう気がとても楽でした。
セットしなくていいし、ドライヤーも要りません。
ただ、直射日光は熱いですし、寒風には参りますけど…

話が逸れましたが、つまり、何かを無理やりコントロールしようとせず、こだわりを捨てて
そんなフリーな頭で物事を考えれば、自然に人の為になる思考を持てるのだと思います。
よく「あなたの為」とか言いながら自分のしたい事を、考えを押し付ける人がいます。
これ実は「私の為」を「あなたの為」にすり替えているだけなんです。
もしお子さんや会社の部下の人達に「これはあなたの為!」と言っていたら、よーく考えて
見て下さい…本当にそうなのか?を。
なぜかと言うと、「人の為」と書いて「偽り」と読みますから。

南無阿弥陀仏
南無阿弥陀仏

善教寺住職
釋 一心(西守 騎世将)







 


 
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